サカナクション「忘れられないの」コード進行徹底解説!エモい和音の秘密
2019年に発表され、ソフトバンクのCMソング(「速度制限マン」篇)としても社会的な反響を巻き起こしたサカナクションの代表曲『忘れられないの』。2026年の現在に至るまで、世代を超えてサブスクリプションやライブの定番曲として圧倒的な存在感を放ち続けています。フロントマンの山口一郎が心血を注ぎ、80年代のジャパニーズ・シティポップ黄金期の美学を現代のサウンドデザインへと昇華させた本作は、プレイヤーたちの探究心を刺激してやみません。
ネット上のギターコード譜共有サイトや動画プラットフォームでは、アコースティックギターの弾き語りから本格的なバンドアンサンブル、ピアノアレンジまで無数のカバー動画が投稿されています。なぜこの曲のコード進行は、聴く者の心を一瞬で揺さぶり、懐かしくも洗練された「エモさ」を醸し出すのでしょうか。本稿では、プロの音楽アナリストの視点を交えながら、『忘れられないの』の和音構成、初心者向けの簡単アプローチ、そして草刈愛美による秀逸なベースラインの秘密まで余すところなく解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:基調となるKey=Gメジャーに忍ばせた「A#dim(ディミニッシュ)」やテンションコードが、80年代シティポップ特有の切ない浮遊感を生み出している。
- 要点2:ギター初心者はカポタストを2フレットに装着した「Key=F移調フォーム」またはオープンコード主体の簡易アレンジで、難関セーハコードを回避して演奏可能。
- 要点3:市販のダイアグラムや無料コード譜(U-FRET等)の三和音表記だけでは原曲のグルーヴを再現しきれないため、16ビートのゴーストノートとベースラインの経過音把握が不可欠。
【楽曲分析】80年代シティポップ調の和音構成とエモい響きの正体
『忘れられないの』を聴いた瞬間に立ち上るノスタルジックな情景。その根源にあるのは、山下達郎や大貫妙子、大瀧詠一らが築き上げた1980年代シティポップへの徹底的なリスペクトと、緻密に計算された和声理論です。楽曲全体の基本キーはKey = G Major(ト長調)で構成されていますが、単純なダイアトニックコード(G, Am, Bm, C, D, Em, F#m7-5)の組み合わせにとどまりません。
特にリスナーの耳を捉えて離さないのが、サビの後半やメロディの転換点に現れる経過和音の配置です。U-フレットやChordWikiなどの主要コード譜でも確認できるように、サビの進行は以下のような流れをたどります。
C ―― D ―― G ―― EmC ―― D ―― G ―― A#dim ―― Am7 ―― D
この「A#dim(A#ディミニッシュ)」の挿入こそが、本作最大の音楽的フックです。G(I)からAm7(IIm7)へとスムーズにベースラインを半音階で繋ぐ「パッシング・ディミニッシュ」として機能しており、ト長調の安定した響きの中に一瞬の不穏さと胸を締め付けるような切なさを生み出しています。音楽心理学の観点からも、予測される解決音の直前に挿入される減三和音は、聴き手に心地よい緊張(テンション)とそれに続く強いカタルシスをもたらすことが実証されています。
さらに、AメロやBメロで多用されるメジャーセブンス(CM7, GM7)やナインス(add9)の響きが、都会的で洗練された空気感を演出。サカナクションが単なる過去のオマージュではなく、現代のダンスミュージックとして成立させている理由が、このコードの緻密なボイシングにあります。

【初心者向け攻略】カポ設定と簡単コードで弾くアコギ弾き語りのコツ
アコースティックギターで弾き語りに挑戦する際、多くの初心者が壁にぶつかるのが「Bm7」や「F#m7-5」、そして前述の「A#dim」といった押さえにくいフォームです。指の柔軟性がまだ追いつかない段階でも、フォームの簡略化やカポタスト(CAPO)の位置調整を行うことで、挫折せずに心地よい演奏を楽しむことができます。
もっとも手軽なのは、原曲と同じKey=Gのまま、複雑なコードを簡易フォームに置き換えるアプローチです。
- A#dimの簡易化:本来の4弦フォームが難しければ、ルート音(5弦1フレットのA#)を押さえつつ、2弦2フレット、3弦3フレットを鳴らすミニマムな押さえ方にシフトする。
- Bm7の簡略化:人差し指でのセーハが難しい場合、1弦をミュートし、5弦2フレット(中指)、4弦4フレット(薬指)、3弦2フレット(人差し指)、2弦3フレット(小指)のオープンフォームを活用する。
- カポタストの活用法:ハイポジションのコード響きを好む場合や、ボーカルの音域に合わせてキーを調整(移調)する場合は、カポタストを2フレットまたは4フレットに装着し、Key=DやKey=Cのフォームへと置き換える選択肢も極めて有効です。
また、アコギ弾き語りにおける最重要ポイントは「右手のリズム」にあります。『忘れられないの』特有の跳ねるようなグルーヴを生むためには、16ビートのストロークにおいて、2拍目と4拍目の裏に軽いブラッシング(空ピッキングや手のひらでのミュート)を挟むことがコツです。コードを押さえる左手以上に、右手の脱力と小気味よいカッティングが、シティポップらしい軽快さを決定づけます。
【徹底比較】主要コード譜サイト・楽譜プラットフォームの実用性データ
現在、ネット上には『忘れられないの』のコード情報や楽譜を提供するプラットフォームが多数存在します。ギター弾き語り、ピアノソロ、バンドスコアなど、自身の目的に応じて最適なサービスを選択することが上達への近道です。編集部が主要サービスの特徴と実用性を検証した客観データを以下にまとめました。
| 項目・サービス | 詳細・機能スペック | 一般的な基準・コスト | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| U-FRET(Uフレット) | コードダイアグラム表示、動画プラス連動、キー移調機能、自分用コード編集(有料) | 基本無料(プレミアム会員は月額制) | 弾き語り初心者に最適。動画と同期してコード進行を確認できるため運指の迷いが少ない。 |
| ChordWiki | ユーザー投稿型テキストコード譜、シンプル表示、キー移調対応 | 完全無料 | 読み込みが高速で無駄がない。コードの構成音を把握している中級者以上の素早い確認に向く。 |
| リンネのコードブック | ダイアグラム付き、ギター/ピアノ/ウクレレ切り替え、小節区切り表示 | 完全無料 | 小節感覚とコードチェンジのタイミングが視覚的に掴みやすく、リズムキープの練習に優れる。 |
| 市販ピアノピース・ぷりんと楽譜 | 右手メロディ・左手伴奏の完全採譜、ペダル記号・強弱記号の完全記載 | 1曲あたり400〜600円程度 | ピアノのソロ演奏や原曲の繊細なボイシングを100%再現したいなら無料コード譜より購入を推奨。 |
| 公式バンドスコア・TAB譜 | ベースTAB譜、ドラム譜、ギターカッティングのポジショニング完全再現 | 1曲分PDF約500円〜 / スコア本約3,500円 | 草刈愛美のベースラインや岩寺基晴のギターワークを忠実にコピーするバンドマンには必須。 |

【低音の魔術】草刈愛美のベースラインが生むグルーヴとTAB譜のツボ
サカナクションの楽曲において、アンサンブルの屋台骨であり最大のフックとなっているのがベーシスト・草刈愛美のプレイです。『忘れられないの』におけるベースラインは、単なるコードのルート弾きにとどまらず、それ自体がもうひとつの主旋律として楽曲を牽引しています。
ベースTAB譜を精査すると判明する特徴的なポイントは以下の3点です。
- オクターブ奏法と16分ゴーストノート:サビやイントロでは、ルート音とその1オクターブ上の音を軽快に行き来しつつ、音を出さない「ゴーストノート(空ピッキング)」を緻密に織り交ぜることで、独特の推進力を生み出しています。
- 巧みな経過音(クロマチック・アプローチ):例えばGからEmへ移行する際、あるいはサビのA#dimを通過する局面で、半音階を使って滑らかに次のコードへと着地させます。この滑らかなベースラインがあるからこそ、コードの響きが濁らずにドラマチックに響きます。
- キック(バスドラム)との完全一致:江島啓一のタイトなキックパターンとベースの発音タイミングがミリ秒単位でタイトに揃っており、ベース単体で弾く際もドラムマシーンやメトロノームに裏拍を意識して合わせる練習が欠かせません。
ベース初心者がTAB譜を追う際は、BPM約115というミドルテンポに惑わされず、まずはテンポを80程度まで落とし、休符とスタッカートの長さを厳密にコントロールすることから始めるのが上達の秘訣です。
【実態検証】演奏者が直面する「落とし穴」とネット上の生の声
SNSや動画投稿サイト、知恵袋などのプレイヤーコミュニティを調査すると、『忘れられないの』のカバーに挑戦した多くの演奏者が共通の「違和感」や「壁」に直面している実態が浮かび上がってきます。
「コード進行をコード譜サイト通りに弾いているのに、なぜかサカナクション特有のおしゃれな雰囲気が出ない」
「原曲の音源に合わせてギターをジャカジャカストロークすると、ボーカルの邪魔をしてしまい泥臭くなってしまう」
こうした声の背景には、この楽曲が持つ「引き算の美学」に対する誤解があります。ギターの弾き語り動画で高く評価されている投稿者を分析すると、コードの6本の弦すべてを均等に鳴らすのではなく、1〜4弦の高音部を中心にした「スリーコードのボイシング」や、親指で低音弦をミュートした軽快なカッティングを徹底していることがわかります。
また、ピアノ演奏者からは「無料コード譜だと右手でコード、左手でルートを弾くだけになり、サビ前のエモーショナルなフレーズがスカスカになる」という意見が散見されます。この楽曲の魅力を引き出すには、シンセサイザーのブラスセクション風のフレーズや、エレピ(フェンダー・ローズ系)の柔らかなコードバッキングを意識的に再現する工夫が求められます。

一般に知られていない盲点とネットの誤解
ネット上の簡易コード譜や耳コピ情報において、もっとも頻繁に見落とされている盲点が「オンコード(分数コード)」と「テンションコード」の省略です。
無料のコード譜共有サイトでは、ユーザーの弾きやすさを最優先するために、以下のような単純化が行われる傾向があります。
- 原曲の
CM7(Cメジャーセブン)が、単なるCと表記される - 原曲の
D/CやD/F#といったオンコードが、単なるDとまとめられる - イントロやアウトロの浮遊感を司る
Gadd9が、平坦なGに置き換えられる
もちろん初心者にとって簡易コードは演奏のハードルを下げる素晴らしいツールです。しかし、そのままバンドで合わせたり原曲オケと重ねたりすると、「何かが決定的に違う」という違和感の原因になります。80年代シティポップの豊潤なハーモニーは、メジャーセブンスの「切なさ」や、オンコードによる「滑らかな低音の下降ライン」があって初めて成立します。ある程度コードチェンジに慣れた段階で、必ず原曲のオフィシャル音源を注意深く聴き直し、テンションノートを足していく作業を行ってください。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
『忘れられないの』の演奏やスコア購入に挑戦するにあたり、プレイヤーの現在のレベルや目的によって推奨されるアプローチは大きく異なります。時間や練習効率を無駄にしないための客観的な判断基準を提示します。
▼今すぐ挑戦をおすすめできる人
- シティポップ・ネオソウルのカッティングを習得したいギタリスト:16ビートのブラッシングとタイトなコードチェンジの基礎がすべて詰まっており、最高の教材となります。
- メロディアスなベースプレイを極めたいベーシスト:オクターブ奏法と経過音の美しさを体得する上で、これ以上ない実践的なリファレンス曲です。
- 中級以上のピアノ弾き語りプレイヤー:右手で洗練されたテンションコード(9th, 13th)を押さえつつ、左手でダンサブルなシンコペーションを刻む高度な練習に最適です。
▼慎重なアプローチ・基礎練習を優先すべき人
- ギターを始めたばかりでFコードやBmコードに苦戦している完全初心者:原曲テンポ(BPM 115)でA#dimやセーハコードを追うのは挫折の原因になります。まずはカポタストを活用したKey=CやKey=Gの超簡易フォームからスタートするか、テンポを60〜70まで落として練習してください。
- コードダイアグラムの丸暗記だけで弾こうとしている人:音の強弱(ダイナミクス)やミュートができていないと、曲の持つスタイリッシュさが失われ、単調な演奏になりがちです。リズムトレーニングを並行して行うことを推奨します。
【忘れられないの コード】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ギター初心者ですが、バレーコード(人差し指でのセーハ)が一切弾けなくても演奏できますか?
A1:可能です。U-フレットなどの「簡単弾き(初心者向けコード)」設定を利用するか、カポタストを装着してオープンコード中心に置き換えることで、人差し指で全弦を押さえるバレーコードを回避できます。例えばBm7の代わりにB7の簡易形や、1弦をミュートした省力フォームを使うことで、指の負担を大幅に減らせます。
Q2:ピアノで弾く際、原曲のシティポップ特有の雰囲気を出すにはどうすれば良いですか?
A2:サスティンペダルを踏みっぱなしにせず、小節やビートごとに細かく踏み直して音の輪郭をクリアに保つことが最大のポイントです。また、左手のベース音はタイトにスタッカート気味に刻み、右手はエレクトリックピアノ風の柔らかいタッチでメジャーセブンス(M7)の和音を弾くと、原曲の空気感を忠実に再現できます。
Q3:女性ボーカルで歌う場合、おすすめのキー移調設定やカポ位置はどこですか?
A3:原曲の山口一郎のボーカルは男性としては比較的高音域(最高音はサビのhiA付近)に位置します。一般的な女性キーに合わせる場合、原曲から「+4〜+5(キーを上げる)」、または「-3〜-4(1オクターブ上で歌うためにキーを下げる)」設定が歌いやすい目安です。ギターの場合はカポタストを4フレットや5フレットに装着してKey=Gフォームで弾くか、移調機能を使って調整してください。
まとめ:コードを理解してサカナクションの美学を鳴らそう
サカナクションの『忘れられないの』は、単にレトロな流行を追った楽曲ではなく、綿密に計算された和声進行と卓越したバンドアンサンブルが生み出した現代のクラシックです。サビに登場する絶妙なパッシング・ディミニッシュ、空間を優雅に泳ぐベースライン、そして無駄を極限まで削ぎ落としたギターワークのすべてに、音楽的な必然性が宿っています。
まずは無料のコード譜共有サイトで全体の進行を把握し、慣れてきたら原曲のテンションコードやリズムの揺らぎへと段階的にステップアップしていくのが確実な上達への道です。一音一音に込められた山口一郎とサカナクションの美学を指先で感じ取りながら、あなたならではの素晴らしい演奏を響かせてみてください。 (出典: 忘れ られ ない の コード(Yahoo!ニュース))